私は犬との暮らしに憧れ、ミニチュアシュナウザー♀のなつを、生後2ヶ月の時に迎え楽しく暮らしておりました。
しかし、生後6ヶ月頃から外の刺激に敏感になり、動く物(車、自転車、バイク、走ってる人、犬)や、音(自転車のベル、バスの停車音、子供のはしゃぐ声)などに反応してギャンギャン吠え、さらには、対象物へ飛びかかる様になってしまいました。
車、自転車、バイクの時は、特に危なく常に気をつけながらの散歩でした。ネットでこの行動を調べると、社会化不足が原因だと分かりました。ワクチン前は抱っこで散歩をし、歩けるようになったら1日2回の散歩に行っていましたが、なつには全然足りてなかったのです。
ネットで調べた色々な方法を試して吠えを止めようとしましたが、私の声はなつには全く届かず、時には唸りながらリードに噛みつき、私の手に歯を当てることもありました。家の中では良い子なのに、その時は性格が変わったように豹変してしまいます。
そして、いつの間にか1日2回の楽しかったお散歩は、憂鬱なものへと変わってしまいました。ちょうどその頃、避妊手術で動物病院に行く機会があり、先生に相談した所、病院でも定期的にしつけ相談会をしていて、今だと2ヶ月先になるが予約が取れると教えて頂きました。
2ヶ月も先になるのか・・・と思いましたが、この時はこれで改善できるかもと希望が湧き待つことが出来ました。そして、迎えた相談会当日、トレーナーの先生に今までのお話をすると「首輪を変えましょう」と取り出されたのは、チョークチェーンという物でした。
使い方の説明を受けると、首が際限なく締まる鎖でできたチェーンで、使い方を間違えると首がきつく締まりすぎたり、首の皮膚を傷つけてしまう恐れがあるが、犬の首は頑丈だから大丈夫と言われました。
私はチョークチェーンを使うことに抵抗があるので、他のやり方はないか聞いてみましたが、それだとこの先、10年なつは変わらないと言われ愕然とました。
それから外に出て指導を受けたのですが、トレーナーさんが歩かないなつの首に強めに2回ショックを与えると、今まで聞いたことのない鳴き声をあげ歩き出しました。
その姿を見て、2ヶ月待って希望を持って受けたレッスンが本当にこれでいいのかと、途方に暮れてしまいました。家に帰宅し夫婦で話し合い、すぐに出た答えは「大切な家族であるなつに、チョークチェーンは絶対に使わない」ことでした。
しかし、別の日の散歩中、車が横を追い越しただけでギャンギャン吠えだし、公園で遊ぶ子供の声に更に反応し、ご近所の家の犬も共鳴してしまい、さらに、その声を聞いたなつは狂ったように吠え続け、私はなす術もありませんでした。
その日は制止出来ない自分の無力さを痛感する日となりました。そして、このままではいけない。なんとかしなくてはと思いネットでドックスクールを探す日々が続きました。
夫には根を詰めすぎだと言われましたが、探さずにはいられませんでした。そのくらい精神的に参っていたのだと思います。
私は埼玉県に住んでいるので、近場のスクールを探しましたが、思うような所が見つからず、なつと似た行動に関して調べているうちに、Visseの「お客様の声」に辿り着きました。
たくさんあるお客様の声を、吸い込まれるように読み感動したのを覚えています。さらにホームページには素晴らしい事が沢山書いてありました。
「仕事を持たない家庭犬に訓練はいらない」
「共に暮らす為の家族化としてのしつけ」
こんなに気持ちを惹かれたスクールはなかったので、夫に相談しなつとの暮らしを楽しいものに変えたいという思いで、埼玉から横浜へ通う決心をしました。
電話して事情を説明すると、カウンセリングの日程をすぐに決めて下さいました。カウンセリング当日、なつは車から降りると興奮してしまい、糸山先生との初対面では吠えかかってしまいました。
そこで先生から興奮している犬に対してのリードの持ち方を教えて頂きました。そして先生が「リードを僕に下さい」と言われたので、お渡しするとピタリと吠え止んだのです。
先生はなつがもの凄く怖がりであること。そして私達家族が一つの群れであり、私達と一緒に居る時は、後ろ盾があるから吠えてしまうこと。そして、この行動は「縄張り性攻撃行動」だと言われました。
先生がリードを持った途端吠え止んだのは、守る群れが無くなった事と、後ろ盾が無くなった事だと説明されました。以前のトレーナーさんからは、具体的な説明がなかったので、糸山先生の明確な診断で理解することが出来ました。
他にも社会化不足にさせてしまった件について、大切な子犬の時期に仕事で毎日8時間の留守番をさせてしまったことを話すと、先生は私を責めず「過ぎてしまった時間は戻せないから、これからの話をしましょう」と言ってくれました。
そして、先生から「なつとこれからどうなりたいですか?」と質問されました。私は、ただ普通に楽しく暮らしたいです。と答えた後涙があふれてしまいました。先生は「大丈夫ですよ、僕が絶対に治しますから」と言って下さり、張りつめた気持ちが落ち着いたのを覚えています。
そこから週1回のレッスンが始りました。毎回30分のカウンセリングから始まるレッスンでは、1週間どんな様子だったかを先生に報告した後、報告について先生がアドバイスをしてくれます。
その時感じるのは、飼い主に対しての熱心な指導です。難しい言葉を並べるのではなく、私の間違った考え方には、具体例をあげて分かりやすく説明して頂けるので、毎回頷く事ばかりでした。
なつの吠えに対しては、親が子を叱る気持ちで、本気で叱らないといけないと教わりました。子供がいない私達夫婦には、子供の頃どんな風に親に叱られたか思い出してと、色んな角度から納得するまでお話して下さいました。
家に帰り実践すると頭では理解出来るのですが、叱ることにはものすごくエネルギーが必要で、私の怒りの感情に少しの隙間を見つけては、そこをこじ開けなつは吠えてしまっていました。
また散歩中、決まって同じ場所で踏ん張って歩かなくなることが新たに出てきました。何もない普通の道路ですが、よく観察してみると下水溝から水の音が微かに聞こえたり、お店の大きい室外機の回る音聞こえる場所でした。
先生に相談すると「音の出所が分からないからですよ」と言われ、時間がある時じっくり聞かせてあげるといいと教わりました。それからは下水溝前で歩かなくなった時、一緒に中を覗き込み水の音を聞くようにしました。するとなつは気が済むまで確認すると歩き出すようになりました。
2クール目に入ると「暴露療法」という、なつだけの個人レッスンを2回行って頂きました。人道りの多い商店街や駅前、住宅街を90分間ポイントを決めて立ち止まり、人や車の流れ、動きや音を見て聞かせ様々な刺激を与えるレッスンです。
このレッスン中、先生はなつに対して「後もうちょっと、頑張って!」「ここで最後だよ!」「なっちゃん、今頑張ってますよ、いっぱい褒めてあげて下さい」と沢山声をかけてくれました。こんなに犬想いの先生はいないと思います。
糸山先生はレッスン中、焦りやプレッシャーを感じ後ろ向きになってしまっている私の背中を、何度も押してくれました。そして、2回目の個人レッスン以降、散歩中の車、自転車、バイク、人への吠えはほとんどなくなり、後は犬だけとなったのです。
レッスン後半のお散歩レッスンでは、私の焦りがなつに伝わってしまったのか、興奮気味にリードを引っ張り上手く歩けなかったのですが、先生がリードを持った途端横について落ち着いて歩いたのです。なつと先生の関係が成立しているから出来る事なんだと思いました
夕方のお散歩レッスンでは、軽い吠え程度で一度もギャン吠えがなく不思議でしたが、先生の存在自体がなつの抑止力となり、先生の出すエネルギーがなつの吠えを押さえ込んでいた事に気付かされました。
なつが苦手だった事をいくつも先生が克服させてくれたので、残りひとつは自分の力で乗り越えよう、そして苦手な事は人にもあるように、犬にだってあると思えるようになりました。
怖がりな、なつの心は「嬉しい・怖い・楽しい・不安」が複雑に絡み合ってるのに、こんな小さな身体で頑張っている。しかし、私は無意識になつにばかり成長求めてしまっていました。
変わらなければいけなかったのは、犬よりも飼い主である私でした。それを先生は色んな形で投げかけて気付かせてくれました。
最後に、最近なつがとても甘えて来るようになったと先生に話したら、それはコミュニケーションが取れてきたからだと言ってくれました。すっごく嬉しかったです。
先生は、卒業してからが本当のスタートだと送り出してくれました。これからも基礎を忘れず、魔法の言葉の「Good!」をなつに伝え続けようと思います。
私達家族がスタートラインに立てたのは、先生のおかげです。なつも1歳になり現在のお散歩は何かに気をつけながらではなく、金木犀の香りや少し涼しくなってきた風を一緒に感じながら楽しく歩けています。
犬に対しては、もう少し時間がかかりそうですが、当たって砕けろくらいの気持ちでチャレンジしています。糸山先生、ここまで導いて下さりありがとうございました。本当に感謝の気持ちで一杯です。
普通の散歩が出来なかった私となつが、普通に散歩出来るってそれだけで本当に幸せなんです。犬との暮らしで思い悩んでる方がいたら、Visseの「共に暮らす家庭犬のしつけ」をお勧めします。愛犬との世界が変わるのは間違いありません。
3ヶ月のレッスンの日々は決して忘れません。
本当にありがとうございました。
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