ビビアンは、我が家に来て4ヶ月頃にお散歩デビューをしました。初めて見る外の世界に緊張の様子でしたが、5ヶ月を過ぎた頃からボーダーコリーの特徴である車やバイク、すれ違う人や自転車に過剰に反応するようになりました。
一旦反応し始めると、吠える、追いかける、飛びつこうとする等、まったく制御不能です。そんな調子ですので、お散歩の時間は早朝や深夜のなるべく人や車の少ない時間帯になってしまい、なかなか日の当たる時間帯のお散歩はできずにいました。
それがビビアンのストレスになっていたのか、家中のものに噛み付いて破壊しまくり、まさに破壊王という感じでした。ほとほと困り果て、家の近くにあったしつけ教室にレッスンをお願いすることにしました。
初回レッスンの日、トレーナーの方に、車追いや吠える、飛びつく等、困っている問題をお話ししましたが、提案されたレッスンは、私の※主訴とは全く違う「ドッグダンスを行って犬との絆を深めていきましょう」というものでした。
※患者が医者に申し立てる症状のうちの主要なもの。このトレーナーはクライアントの訴えを全く理解していない。
さらに犬の歯ブラシやドッグフードの購入を迫られ、ビビアンの問題行動で切羽詰まっていた私は、商品を購入しないとレッスンを行ってくれないのではないかと思い、仕方なく勧められた商品を購入しましたが、結局、その日はビビアンの問題行動に関してのレッスンはありませんでした。
そして、2回目のレッスンで、トレーナーさんからドッグダンスの音楽が決まりました。と言われたので、私はドッグダンスには全く興味がなく、ビビアンと楽しくお散歩がしたいとお話ししたところ、じゃあ車とすれ違うレッスンをしてみましょうということになり、トレーナーさんと他の生徒さん達とお散歩に出かけました。
ほどなくして車が来た際、興奮して吠えているビビアンにトレーナーさんが取った行動は、「吠えかかるビビアンに覆い被って叱る」というものでした。しかし、ビビアンの興奮が治ることは一向にありませんでした。
挙句トレーナーさんから、「ビビアンはボーダーコリーなのに頭が悪過ぎる、普通のボーダーはダメって言われたら1回で理解するよ、どこのブリーダーで買ったの?騙されたんじゃないの?」と笑いながら他の生徒さんの前で言われました。
私は悔しくて、帰りの車で泣きながら運転して帰ったことを今でも忘れられません。そして、その日のうちにレッスンを終了したい旨をトレーナーさんにお伝えしたところ、ウチの生徒さんの中でも一番酷い生徒でしたと、電話を切られてしまいました。残りのレッスンはあと3回程残っていましたが、LINEもブロックされてしまい、返金もしてもらえませんでした。
そんな事があってからしばらく気持ちも沈んでいましたが、ビビアンと楽しい日々を過ごしたいという思いで、他のしつけ教室を見学に行きました。しかし、そこでのレッスンは問題を解決するためには、犬が白目を剥くまでチョークチェーンで首を締め上げるというものでした。
私には可愛いビビアンにそんな残酷なことは絶対にできません。そして、悩んだ末いっその事もう諦めてビビアンの好きな様にさせるしかない、という結論にたどり着きました。そんな時に事件が起きてしまったのです。
その日は忙しい私に変わって、主人がビビアンのお散歩に行ってくれました。相変わらず人通りの少ない早朝の時間帯でした。自治会の掲示板を見ていた主人がビビアンに急に引っ張られてびっくりした次の瞬間、ビビアンの「キャイーン!!」という叫び声が聞こえたそうです。
ビビアンは、主人が掲示板を見ていたほんの一瞬の隙に、通り過ぎる自転車に飛び付き自転車の籠とタイヤの間に左前脚を挟まれてしまったのです。幸いな事に自転車の方には怪我はなく、謝罪をした後に主人はビビアンを抱き抱えて家に帰ってきました。
早朝だった為に動物病院が始まるまでの間、ソファーにじっと横たわるビビアンを見ては泣きながら、「小さい時からもっとちゃんとしつけを行なっていれば、こんな事にはならなかった」と、自責の年に駆られ、病院の診察時間が始まるまでとても辛い時間を過ごしました。
そして、診察が始まりすぐに診て頂いたところ、左前脚複雑骨折、全治7ヶ月という診断でした。その日の午後に緊急手術を行ない、それから2ヶ月はギプスの生活が始まりました。
慣れないギプスでも外を一生懸命歩く姿に、このままではまた同じ様なことが起きてしまうかもしれない、そんな思いから必死でしつけ教室を探しましたが、今までの経緯を話すと、どのしつけ教室も「ボーダーコリーは無理です。2才じゃもう遅いです。」という答えしか返って来ませんでした。
もう無理なのかなと諦めかけていた時に、ネットで【ボーダーコリー しつけ教室】と検索してみたところ、ドッグスクールヴィッセの「お客様の声」がヒットし、ボーダーコリー特有の悩みと、それを克服した飼い主さん達の声が書かれていました。
「お客様の声」を読み、同じ悩みを克服した飼い主さん達に勇気づけられ、このまま諦めたらビビアンの為にならないと思い、不安はかなりありましたが、すぐに糸山先生にお電話しました。
そして、これまでの骨折した経緯と2才という年齢のことを話すと、先生は優しく「年齢とかは関係ないですよ、大丈夫ですよ。」と言ってくれました。私は先生の「大丈夫ですよ。」の言葉に、今までの苦悩の日々が一瞬にして吹き飛んでいくような感覚を今もはっきりと覚えています。
その後、ビビアンの骨折部分に入っていたプレートを除去する手術が無事終了して、獣医師からしつけ教室に通う許可が出たので、改めて糸山先生にご連絡をさせて頂き、2023年10月18日にカウンセリングの時間を取って頂きました。
カウンセリング当日、初めての場所で興奮気味のビビアンに、先生が「ビビアン、座って。」と真剣な表情で言ったところ、ビビアンは直ぐにおとなしく座りました。私はそれを目の当たりにして、驚きと感動と今までのことが一瞬で甦り涙が溢れました。
そして、カウンセリングでは、「子供を育てるようにワンちゃんも育てましょう、犬も子供も心を育むんですよ!」と言われた言葉が私の心に強く響き、「この先生なら私もビビアンも変わる事ができるかもしれない。」と確信し、レッスンを申し込みました。
私の住んでいる家からヴィッセまでは、車で高速道路を使っても片道1時間半かかります。レッスンの日は、10時にヴィッセに行き30分勉強をした後、ビビアンをお預けして一旦家に帰ります。そして、16時にまた教室に戻り、他の生徒さんのワンちゃん達と近くの公園にお散歩レッスンに行きます。
ですので、家からヴィッセまで2往復するので、合計250キロの道のりでしたが、どんどんお利口になっていくビビアンの変化がとても嬉しく、週に1度のレッスンが楽しみで全然苦ではありませんでした。
先生はレッスンの様子を、毎回LINEの動画でたくさん送ってくれます。先生はビビアンに何を教えるにしても、『グード!、グ~ド!』とひたすら褒めてレッスンを行っています。以前教わったトレーナーさんに比べると、倍どころではなく10倍以上は犬たちを褒めています。そして、ワンちゃんたちは見違えるほどに変わっていくのです。
そして、2クール目の2回目のレッスンで、これまでに受講したボーダーコリー達と同様に、山手駅の周辺や商店街で過ぎ行く人や車、バイクや自転車など、様々な刺激に馴らすために「系統的脱感作」というレッスンを行っていただきました。
私は「どういう事になるのだろう?」不安でしたが、ビビアンは吠えるどころか、ガードレールに両方の前脚を掛けて楽しそうに人や車の流れを見ていました。その光景を目の当たりにして本当に驚きました。先生はワンちゃんも飼い主の心も変えてくれます。糸山先生はそういう先生です。
レッスンも終わりに近づいた頃、先生が「本城さん、僕の師匠は1頭1頭のワンちゃん達なんです。毎日ワンちゃん達から勉強させてもらってるんです。だってふたりとして同じ犬はいないんですから。だからゴールがないんです。」と話された時、私は本当にすごい人だと思いました。
また、ある日先生が「ボーダーコリーは、車に例えるとフェラーリなんです。しかもマニュアルです。それを初心者が乗りこなすには、相当練習しなきゃだめですよね。」と、実に分かりやすい例えをしてくださり、思わず笑ってしまいました。
色んな悩みを抱えている飼い主さん達は、多々いらっしゃると思います。色んなスクールで辛い目にあった人もいらっしゃると思います。この私の声がそんな方達の希望の光になれたらと思います。
長くなりましたが、私は先生に巡り逢えて本当にラッキーでした。今ビビアンとの幸せな生活があるのは、先生やレッスンでご一緒させて頂いた飼い主さん、そしてワンちゃん達のお陰です。
糸山先生、皆さん、ワンちゃん達、本当に有難うございました。少し遠いですがまた公園に元気でお利口になったビビアンを連れて行きます。ありがとうございました。