ですので、飼い主は家族や友人、外で出会う人々、特に犬を飼っていない人や、犬が嫌いな人達に不愉快な思いをさせないためには、どうしたらよいかを教える必要があります。
家庭犬のしつけには、人間社会から求められるしつけ=禁止のしつけと、飼い主が犬に求めるしつけ=動作を教えるしつけの2つがあるのです。禁止のしつけには、次の3つがマナーとして重要な項目になります。
①他の人や犬に向かって吠えない=警戒心の強い犬
②咬まない=特に臆病なオス犬
③排泄をどこでもさせない=特にオス犬のマーキング
この3つが守れていれば、家庭犬として何も問題はありません。
しかし、残念ながら、①と②は、私の所で扱う一番多い問題行動です。
特に③に関しては、電柱や家の前の植え込みなど、町中が犬のトイレと化しています。近年では、排泄の後に水をかけるということが定着していますが、賛否両論あるみたいです。どんなに「スワレ」や「マテ」などの動作が完璧にできたところで、人間社会に迷惑をかけていたら本末転倒です。
そして、①と②の問題に共通している犬は、「怖がりで警戒心が強い小型犬」に多いことです。怖がりで警戒心の強い犬は、自分自身で「怖がり」は克服できません。子犬のうちに色々な所に連れて行ったり、人や犬に合わせたりして、飼い主がたくさんの経験を積ませる必要があるのです。
犬が番犬である時代は終わりました。今や犬は家族の一員なのです。現在に於ける家庭犬のしつけとは、「お座り」や「待て」などの動作を教えるだけでは十分ではないのです。
現在の家庭犬のしつけに求められていることは、家族の一員として、愛犬を防御的で反社会的な犬に育てないことなのです。ヴィッセでは、禁止のしつけを一番に考えています。