現在、日本におけるしつけの方法は、警察犬の訓練が基盤となっています。警察犬訓練所における基本的な訓練とは、スワレ、フセ、マテ、コイ、ツイテの5つの行動を教えることです。訓練は服従訓練と呼ばれ、絶対的な主従関係が求められます。
そして、この服従訓練に見られる代表的なルールとして、
・飼い主より先に歩かせない
・食事は飼い主が先で犬は後
・玄関を出るときは飼い主が先
・犬と一緒に寝てはいけない
などがありますが、これらのことは、家庭犬のしつけとは何も関係ありません。
また、「甘噛みをしたらマズルをつかんで叱る」「仰向けにして叱る」「犬が吠えたときに、音の出る缶を投げる」なども、この訓練から来ています。
そもそも、この服従訓練の目的とは、人間の仕事を手伝う使役犬になるためのものです。訓練の時間は限られているので、常に緊張感と集中力が求められます。指示の出し方も、「座れ!!」「待て!!」と厳しく命令調で言わなければなりません。
警察犬の訓練における主従関係とは、人間の世界で言えば、師匠と弟子になります。しかし、使役犬として、指示された命令に忠実に従わせる家畜化としての訓練と、家庭犬として、共に暮らすための家族化としてのしつけは、まったく別なものなのです。
家族の一員として育てる家庭犬のしつけに、主従関係は必要ありませんし、緊張感も集中力も必要ありません。家庭犬の暮らしに必要なことはリラックスです。
その家庭犬のしつけとは、お散歩で人や犬に向かって吠えないとか、拾い食いをしないとか、他の犬と上手に挨拶ができるとか、日常生活でのやっても良いことや、やってはいけないことのルールを、しつけるのではなく教育することです。
その犬の教育には、飼い主の正しい知識、そして根気と時間が求められます。ヴィッセが考える犬のしつけとは、文化も習慣もそして、コミュニケーションの手段が違うヒトとイヌが快適に暮らし理解しあうためには、犬だけではなく、飼い主と犬が一緒に学び、共に成長していくことが大切なことだと考えています。
※写真は、左から大治郎、幸太郎、杏です。毛布に隠れて分かりませんが、真ん中で僕が寝ています。