ヴィッセが考える「共に暮らすためのしつけ」とは、人に飛びつかないとか、テーブルに乗ってはいけないとか、
台所に入ってはいけないとか、拾い食いをしないなど、日常生活でのルールを教えることです。
そのルールを教える上で、最も大事なしつけが禁止のしつけです。
禁止のしつけとは、やってはいけないことです。例えば、家で無駄吠えをしたり
散歩中に他の犬に吠えかかったり、オシッコをどこでも勝手にして周りに迷惑をかけていたら、
どんなにお座りや待てなどが上手にできても意味がないと思います。
ヴィッセのレッスンでも、「お座り」や「待て」などは教えますが、
それよりもこの禁止のしつけの方を大事にしています。 ちなみにヴィッセの「待て」は、
「一時待機の待って」「帰って来るからねの待って」「緊急の待って」と3種類あります。
そして、この禁止のしつけ方が、あるトレーナーは「無視する」、またあるトレーナーは、
「叱る」というふうに、それぞれのトレーナーによって、対処の仕方が違うのが現状です。
その禁止のしつけでは、以下のことが良く行われます。
・マズルをつかんで叱る ・犬を仰向けにして叱る ・叩く
・音の出る缶を投げ驚かす ・リードを強く引っ張り首にショックを与える
など、これらの対処法は、犬を「家畜」として扱うことを前提としたしつけの方法です。
ここで言う家畜とは、犬を人間より下に見て、犬の気持ちや心を尊重しないということです。
よくテレビや映画の中に登場する犬たちは、飼い主にとても忠実で擬人化されて描かれています。
そんなイメージが強いせいか、多くの方が「犬は人間のようにものを考えることができる」と思い、
「ダメ!」「○○しない!」と叱って、犬に反省を求めるしつけを行ってしまいます。
しかし、「何が悪かったのか?」の理由づけと、反省ができない犬をいくら叱っても、
一時的にやめるだけで、善悪の概念がない犬は、悪い行動をどう改めればよいかはわかりません。
したがって、同じことに対していつまでも叱り続ける結果にしかなりません。
また、しつけの本やネット、または人から聞いた情報などで、犬をしつけようとしても上手くいきません。
なぜならそれらの情報は、あなたの犬に向けて書かれたものではないからです。
さらに、犬の性格や飼い主の性格、そして、各家庭の犬に与える生活環境もそれぞれ異なるので、
よその家で上手く行った方法が、自分の犬にもうまく行くとは限らないのです。
人と犬は、文化も習慣も、そして、コミュニケーションの手段も違います。
そんな人と犬が一緒に暮らすわけですから、犬をしつけようとする前に、飼い主が正しい知識を学ぶことです。
そうして初めて、しつけに対する適切なアプローチと、問題への的確な対処が出来るようになるのです。
子供のしつけにも犬のしつけにも、近道はありません。そして、犬のしつけは、飼い主次第です!