■ストレスとストレッサー
多くの方が「ストレスが多い」「ストレスになる」などという言い方をしていますが、
私たちが使う「ストレス」という言葉は、しばしば「ストレッサー」という言葉と混同して使われています。
●ストレス
なんらかの刺激によって心身に生じるゆがみ
●ストレッサー
ゆがみの原因となる刺激
つまり、ストレスの元となる事象は、厳密には「ストレッサー」ということになり、
それによって生じる心身の不調が「ストレス」なのです。
この世の中にはたくさんのストレッサーがあり、それをすべて避ける手段はありません。
本来、人(犬)の体には、ストレッサーに対する防御機能があり、
心身が参ってしまわないように働きかけを行ってはいますが、以下のように、それが敵わない場合、
などは、心身にさまざまな不調が現れることになります。
人のストレスの元と言えば、一番多いのが職場での人間関係でしょう。犬の場合はと言うと、
他人との接触が人ほど多くないので、飼い主との関係性や家族間の関係性がストレスになります。
(主従関係を強要する、夫婦仲が悪い、小さな子供が乱暴に犬を扱うなど。)
また、生活環境が人間に比べてはるかに狭いので、人ほどのストレスは起こりにくいです。
そのストレスの原因となるストレッサーには、以下のように、実にさまざまなものがあります。
※人は5つのストレッサーがあるが、犬は赤字の3つ。
・物理的ストレッサー
天候、温度、気圧の変化など、「自然」によるもの
・社会的ストレッサー
仕事、家庭、経済状況の変化、人間関係など、社会環境によるもの
・環境的ストレッサー
騒音、振動、空気の汚れなど、外部環境によるもの
・身体的ストレッサー
病気、怪我、疲労、不眠など、体の変化によるもの
・精神的ストレッサー
怒り、悲しみ、葛藤、緊張、不安、悩み、寂しさなど、気持ちの変化によるもの
また、物理的・環境的・社会的ストレッサーは「外的ストレッサー」
身体的・精神的ストレッサーは「内的ストレッサー」と、区分けすることもできます。
人とのつながりや仕事などによるストレッサーだけではなく、暑さや寒さ、気圧の変化など、
些細な不快感や違和感、時には自覚がない外的刺激さえもストレッサーになることがあるのです。
犬の場合はというと、過去も未来もなくその一瞬一瞬を生きているので、たとえ嫌なことがあったとしても、
人のように引きずることはありませんし、適切な生活環境で暮らしていれば、ストレスが溜まることはありません。
ただ、長時間の留守番や、散歩不足の犬の場合は、ストレスアウトができず過度のストレスがかかると、
無駄吠えや飼い主を咬むなどの問題行動に発展していく場合があります。
また、お散歩レッスンでは、公園まで一切道草をさせないので、初めてレッスンを受けられた方から
「犬は匂いを嗅がせて歩かせないと、ストレスが溜まりませんか?」と聞かれたことがありますが、
これがストレスの使い方が間違っている例です。
飼い主の方には、公園に着いてから好きなだけ匂いを嗅がせれば、ストレスが溜まることはありませんし、
これを「メリハリ」と言います。と答えています。