新入生のチロルくん、9ヶ月です。飼い主の方は、チロルくんの吠えに困ってヴィッセに来てくれました。ヴィッセに来る前に、出張のトレーナーさんに7回レッスンを受けられたそうですが、そのレッスンの内容に愕然としました。それは、小銭を缶に入れて犬が吠えたら、その缶を投げて驚かすというものです。いまだにこういう馬鹿げたことを、お金を取って教えているトレーナーがいることに、僕のほうが驚かされます。
僕は犬を「しつける」という意識は1%もありません。犬は学習する生き物です。大切なことは、犬に学習をさせることなのです。しかし、多くの飼い主は、犬を叱るだけで学習をさせようとはしません。(叱ってはいけないということではありませんので)缶を投げたり、マズルを掴んで叱ったりしても犬は何も学習しませんし、犬の心を育むこともありません。
僕は無駄吠えなどの問題行動の矯正には、「他行動分化強化」と「対立行動分化強化」、そして「正の罰」を使います。強化とは、簡単に言えば、「行動を増やすこと」になります。罰とは、叱ることで好ましくない「行動を減らそうとする」ことです。しかし、叱るだけでは、悪い行動は減りませんし、良い行動も増えません。犬のしつけとは、良い行動=正解をひたすら教えることにつきます。
そして、良い行動が増えれば、悪い行動は減っていくという理屈です。この辺は、改めて説明させていただきたいと思います。