一般的な犬のしつけの共通のイメージとしては、「スワレ」や「マテ」「フセ」などの動作を教え、
命令して言うことを聞かせることではないでしょうか。そして、この「犬のしつけ」とも思われている、
「スワレ」や「マテ」などの動作を教えることを、正式には「服従訓練」と呼んでいます。
そもそもこの訓練は、警察犬や災害救助など、特殊な環境と限られた時間の中で、
人間の仕事を手伝わせるために、「犬に何かをさせる」ことが目的となっています。
でも人間の仕事を手伝わない無職の家庭犬に、人間の仕事を手伝わせることがベースとなっている訓練を、
しつけと称して行うというのは、何かおかしいと思いませんか?
服従訓練とは、犬の個性に関係なく,決められた言葉に決められた動作を教え、
条件反射的に従うようにすることです。したがって、家庭という環境の中で何も問題を起こさず、
調和のとれた生活を犬に教えるものではないのです。
すべての犬は同一ではありません。人間の子供に個性があるように、犬にも個性があります。
しつけとは、その子の個性に合わせ、その子に必要なものを与えることがしつけだと思います。
日本でもひと昔と比べると、しつけ教室の数はずいぶん増えました。
しかし、多くのしつけ教室で教えている内容は、おやつを使うとか使わないなどの
形の違いこそあれ、現在の家庭犬のしつけは、前述した服従訓練が基盤となっています。
「訓練所に預けたけど、帰ったら元に戻った」「本を何冊も読んだけど、上手くいかなかった」
「しつけ教室に通ったが、トレーナーの言うことは聞くけど、私のいうことは聞かない」など、
こういう話をよく耳にします。
なぜこういうことが起きるかというと、使役犬として、指示された命令に忠実に従わせることが
目的の訓練と、家庭犬として、共に暮らすためのしつけはまったく違うものだからです。
もし、あなたが愛犬と競技会やアジリティーを目指すのであれば、訓練が必要になります。
しかし、そうでなければ、無職の家庭犬にしつけは必要ですが、訓練は必要ないのです。
でも、その家庭犬のしつけって一体何でしょう?
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