「訓練所に預けたけど、帰ったら元に戻った」「しつけ教室に通ったが、
トレーナーの言うことは聞くけど、私のいうことは聞かない」」などの話をよく耳にします。
訓練所に預けただけで飼い主が何も学んでいなければ、元に戻るも何もありませんし、
しつけ教室に通ったのが仮に5~6回程度であれば、いうことを聞かなくても当たり前の話です。
僕も問題行動のワンちゃんたちは、朝から夕方までお預かりしてレッスンを行うので、
「犬を預けると先生のいうことは聞いても、飼い主のいうことは聞かないのではないでしょうか?」
という質問を良く受けます。
どのしつけ教室でも、愛犬の相談で多いのは、「無駄吠え」です。もっとも犬にとっては
無駄に吠えている訳ではなく、有益な吠えだったり切実な吠えだったりする訳で、
無駄吠えや問題行動という言葉をあまり使いたくはありません。
僕は対処療法を行わないので、犬に「やってもよいこと」と「やってはいけないこと」の基礎を
きちんと教えます。この基礎を一から教えるために、まず、犬は犬だけでレッスンを行った後、
飼い主とワンちゃんのレッスンを一緒に行います。
たとえば、チャイムの音や他の犬、人に向かって吠えるワンちゃん達は、
四六時中吠えている訳ではありません。特定の状況では吠えますが、
それ以外では吠えていない、ということです。犬が吠えた時に無視したり、叱るだけでは直りません。
大切なことは、吠えた時には「いけない」ということをきちんと伝え、(これが難しいみたいです)
犬がおとなしく良い子にしている時に、たくさん褒めてあげることです。そうすると、
犬は「吠えれば叱られる、吠えないで良い子にしていれば褒められる」という選択肢を学習します。
その結果、犬は徐々に「吠えない行動」を選択するようになり、「衝動の抑制と感情のコントロール」が
自分で出来るようになってきます。そして、「快」か「不快」かで生きている犬達は、
最終的に吠えない方(快)を選択するようになるのです。
そして、このレッスンは、1時間や2時間という限られた時間ではできないので、日中3時間~最大6時間
お預かりしてレッスンを行うという訳です。(問題の程度が重いほど、預かる時間が長くなります)
また、飼い主の方が常にそばにいると、犬によっては飼い主に依存して学ぼうとしない子もいます。
以上が、僕がワンちゃんをお預かりしてレッスンを行う理由です。
さらにヴィッセでは、その日にレッスンを受けているワンちゃんとみんなで行く、
お散歩レッスンが必ず付いていますので、レッスンのボリュームは相当あると思います。
とくに、散歩中に他のワンちゃんに吠える子にはとてもよい練習になります。
とはいえ、しつけ教室は、基礎を学ぶところです。飼い主の方がトレーナーから学んだことを、
日常生活という応用の場で実践できるようになることが、何よりも大切なのです。
【対処療法】 叱ったり缶などを投げたりして、一時的な対処で問題を根本から解決しようとしないこと。
【基 礎】 この基礎に対する考え方が、訓練士やトレーナーによって大きく異なるのが実情。
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