~著者の本文より~
「私の盲導犬訓練とは、要するに『グッド』を教えることなんです。『シット(座れ)』、『ダウン(伏せ)』を教えるにしても、それは『座れ』 『伏せ』を使って『グッド』と『ノー』を教えている。
ドッグエデュケーションの基本は犬が自ら考えることと言いましたが、障害物があったら右に避けるか左に避けるかを考えさせたい。
~中略~
なぜ段差で止まるのか。考えた結果、止まるようにする。犬に選ばせる訳です。どちらがより楽しいんだろう、と。
『グッド』と褒めてもらえるのはどちらなのか、それを犬に選ばせる。そのために『ダウン』という課目を使って『グッド』を教えて行くわけです」。
主従関係を築く「服従訓練」において、「スワレ」や「マテ」そのものを教えていた僕は、この文章を読んだ時、もの凄い衝撃を受けたことを今でも忘れません。今から8年前のことです。
今では、師匠として(僕が勝手に呼んでいるだけです)プライベートなお付き合いをさせてもらっています。困ったことや、嬉しいことがあると電話をするのですが、その度に『グ~ドです』と褒めてもらえます。その時僕は、犬になった気持ちでもっと褒めてもらおうと明日から頑張れるのです。