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家族を愛するすべての大人へ
Prologue
この物語を「家族を愛するすべての大人」へ捧ぐ。
● だいじろうのひとこと ●
夢にまで見た「きみとのくらし」が、とうとうはじまる。
あの日は、まっ青な空がどこまでも広がり、
お日さまがキラキラとかがやいていたのをおぼえているよ。
それはまるで、祝福の光のシャワーを浴びているようだった。
きみはちょっとまぶしそうにしていたけどね。
おかあさんにだかれた、きみの小さな体を見て、ぼくはこうおもったんだ。
「きみは神さまがくれたたからものだと・・・ ・・・」そして、
「どんなことからもきみを守る」って。
エピソード 01
● だいじろうのひとこと ●
きみはあたらしいお布団がとても気にいったようすで、
きもちよさそうに、くるまっていたね!
そして、やわらかな日ざしと風に包まれ、
いつのまにか、きみは寝息をたてていた。
そんなきみの寝顔を、ぼくはずっと眺めていたんだよ。
いつまでも、いつまでも・・・ ・・・
エピソード 02
● だいじろうのひとこと ●
ずっとここにいられるんだとおもうと、
ぼくはうれしくなって、おとうさんとおかあさんに、
たくさん話しかけたんだ。
「なあに? ケン」
「どうした、あまえんぼうだなケンは!」
ふたりが、ぼくのことをケンって呼んでくれて、
もっとうれしくなった。
おとうさんとおかあさんがなかよく座っていると、
ぼくはそのまんなかに座りにいく。
ぼくもちゃんとお座りできるのに、
いつもどちらかのひざに乗せられちゃうんだよ。
でも、心地いいんだよね!
エピソード 03
● だいじろうのひとこと ●
きみにあまえられたら、どんなこともしてあげたくなる。
きみにあまえられたら、どんなにつらいことでも忘れられる。
きみにあまえられたら、とてもやさしいきもちになれる。
きみがとなりにいるだけで何もいらない。
きみは家族の一員として、なくてはならないたいせつな「たからもの」。
おとうさんとおかあさんのところにきてくれて、ありがとう!
おとうさんとおかあさんをえらんでくれて、ありがとう!
エピソード 04
● だいじろうのひとこと ●
シャワーのときになると、きみはいつも泣いていたね。
きみは「ちょっとだけこわい」って言っているみたいだけど、
おとうさんには、大げさなくらいこわがっているように見えたよ。
そのたびに、なんだか悪いことをしているみたいで
ぼくは心がいたかったよ・・・ ・・・
エピソード 05
● だいじろうのひとこと ●
ぼくはきみが家族の一員となった日に、ふたつ心にちかったことがあるんだ。
ひとつは「ゆたかな心をはぐくむこと」
もうひとつは「だれからも愛される子にそだてること」
そして、きみは、
ぼくがちかったとおりの子に、そだってくれているよ。
きょうはきみがだいすきなたべものとおもちゃを、みんながたくさん用意してくれたよ!
おもいっきりたのしもうね!
エピソード 06
● だいじろうのひとこと ●
きみのおかあさんがあたらしい命を宿したよ! ケン! きみに兄弟ができるんだよ!!
こんなにすばらしいことがあるかい!? ケン! きみは「おにいちゃん」になるんだよ!
もうおとうさんは、気がどうにかなりそうなくらい、うれしいよ!!!
エピソード 07
● だいじろうのひとこと ●
きみは「おにいちゃん」になってからしばらくは、
おにいちゃんというものに戸惑っていたね・・・ ・・・
おかあさんがのぞみをだっこしていると、
うらやましそうに見ているきみが、とてもいじらしかったよ。
それでもきみは、おかあさんのいうことを、きちんと聞いていたね。
そんな姿が、おにいちゃんらしくて、とてもえらかったよ!
エピソード 08
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て、
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
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エピソード 09
● だいじろうのひとこと ●
去年のたんじょう日はとても盛大だったね!
きみはうちにお祝いにきてくれた人たちに、おもいっきり愛想をふりまいていたね。
そして、きみが大きなケーキに顔をうずめて、
顔中がクリームだらけになったのを見て、
みんなで大笑いしたことがいちばんのおもいでだよ!
今年は「家族」だけでのお祝いでちょっとさびしいかもしれないけれど、
こういうのを「家族水いらず」って言うんだよ。
きみはたいせつな家族の一員。これからも、ずーとずーと離れることのない家族の一員だよ!
エピソード 10
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
エピソード 11
● だいじろうのひとこと ●
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
エピソード 12
● だいじろうのひとこと ●
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
エピソード 13
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
この物語を「家族を愛するすべての大人」へ捧ぐ。
● だいじろうのひとこと ●
夢にまで見た「きみとのくらし」が、とうとうはじまる。
あの日は、まっ青な空がどこまでも広がり、
お日さまがキラキラとかがやいていたのをおぼえているよ。
それはまるで、祝福の光のシャワーを浴びているようだった。
きみはちょっとまぶしそうにしていたけどね。
おかあさんにだかれた、きみの小さな体を見て、ぼくはこうおもったんだ。
「きみは神さまがくれたたからものだと・・・ ・・・」そして、
「どんなことからもきみを守る」って。
● だいじろうのひとこと ●
きみはあたらしいお布団がとても気にいったようすで、
きもちよさそうに、くるまっていたね!
そして、やわらかな日ざしと風に包まれ、
いつのまにか、きみは寝息をたてていた。
そんなきみの寝顔を、ぼくはずっと眺めていたんだよ。
いつまでも、いつまでも・・・ ・・・
きみはあたらしいお布団がとても気にいったようすで、
きもちよさそうに、くるまっていたね!
そして、やわらかな日ざしと風に包まれ、
いつのまにか、きみは寝息をたてていた。
そんなきみの寝顔を、ぼくはずっと眺めていたんだよ。
いつまでも、いつまでも・・・ ・・・
エピソード 02
● だいじろうのひとこと ●
ずっとここにいられるんだとおもうと、
ぼくはうれしくなって、おとうさんとおかあさんに、
たくさん話しかけたんだ。
「なあに? ケン」
「どうした、あまえんぼうだなケンは!」
ふたりが、ぼくのことをケンって呼んでくれて、
もっとうれしくなった。
おとうさんとおかあさんがなかよく座っていると、
ぼくはそのまんなかに座りにいく。
ぼくもちゃんとお座りできるのに、
いつもどちらかのひざに乗せられちゃうんだよ。
でも、心地いいんだよね!
エピソード 03
● だいじろうのひとこと ●
きみにあまえられたら、どんなこともしてあげたくなる。
きみにあまえられたら、どんなにつらいことでも忘れられる。
きみにあまえられたら、とてもやさしいきもちになれる。
きみがとなりにいるだけで何もいらない。
きみは家族の一員として、なくてはならないたいせつな「たからもの」。
おとうさんとおかあさんのところにきてくれて、ありがとう!
おとうさんとおかあさんをえらんでくれて、ありがとう!
エピソード 04
● だいじろうのひとこと ●
シャワーのときになると、きみはいつも泣いていたね。
きみは「ちょっとだけこわい」って言っているみたいだけど、
おとうさんには、大げさなくらいこわがっているように見えたよ。
そのたびに、なんだか悪いことをしているみたいで
ぼくは心がいたかったよ・・・ ・・・
エピソード 05
● だいじろうのひとこと ●
ぼくはきみが家族の一員となった日に、ふたつ心にちかったことがあるんだ。
ひとつは「ゆたかな心をはぐくむこと」
もうひとつは「だれからも愛される子にそだてること」
そして、きみは、
ぼくがちかったとおりの子に、そだってくれているよ。
きょうはきみがだいすきなたべものとおもちゃを、みんながたくさん用意してくれたよ!
おもいっきりたのしもうね!
エピソード 06
● だいじろうのひとこと ●
きみのおかあさんがあたらしい命を宿したよ! ケン! きみに兄弟ができるんだよ!!
こんなにすばらしいことがあるかい!? ケン! きみは「おにいちゃん」になるんだよ!
もうおとうさんは、気がどうにかなりそうなくらい、うれしいよ!!!
エピソード 07
● だいじろうのひとこと ●
きみは「おにいちゃん」になってからしばらくは、
おにいちゃんというものに戸惑っていたね・・・ ・・・
おかあさんがのぞみをだっこしていると、
うらやましそうに見ているきみが、とてもいじらしかったよ。
それでもきみは、おかあさんのいうことを、きちんと聞いていたね。
そんな姿が、おにいちゃんらしくて、とてもえらかったよ!
エピソード 08
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て、
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
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エピソード 09
● だいじろうのひとこと ●
去年のたんじょう日はとても盛大だったね!
きみはうちにお祝いにきてくれた人たちに、おもいっきり愛想をふりまいていたね。
そして、きみが大きなケーキに顔をうずめて、
顔中がクリームだらけになったのを見て、
みんなで大笑いしたことがいちばんのおもいでだよ!
今年は「家族」だけでのお祝いでちょっとさびしいかもしれないけれど、
こういうのを「家族水いらず」って言うんだよ。
きみはたいせつな家族の一員。これからも、ずーとずーと離れることのない家族の一員だよ!
エピソード 10
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
エピソード 11
● だいじろうのひとこと ●
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
エピソード 12
● だいじろうのひとこと ●
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
エピソード 13
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
ずっとここにいられるんだとおもうと、
ぼくはうれしくなって、おとうさんとおかあさんに、
たくさん話しかけたんだ。
「なあに? ケン」
「どうした、あまえんぼうだなケンは!」
ふたりが、ぼくのことをケンって呼んでくれて、
もっとうれしくなった。
おとうさんとおかあさんがなかよく座っていると、
ぼくはそのまんなかに座りにいく。
ぼくもちゃんとお座りできるのに、
いつもどちらかのひざに乗せられちゃうんだよ。
でも、心地いいんだよね!
● だいじろうのひとこと ●
きみにあまえられたら、どんなこともしてあげたくなる。
きみにあまえられたら、どんなにつらいことでも忘れられる。
きみにあまえられたら、とてもやさしいきもちになれる。
きみがとなりにいるだけで何もいらない。
きみは家族の一員として、なくてはならないたいせつな「たからもの」。
おとうさんとおかあさんのところにきてくれて、ありがとう!
おとうさんとおかあさんをえらんでくれて、ありがとう!
きみにあまえられたら、どんなこともしてあげたくなる。
きみにあまえられたら、どんなにつらいことでも忘れられる。
きみにあまえられたら、とてもやさしいきもちになれる。
きみがとなりにいるだけで何もいらない。
きみは家族の一員として、なくてはならないたいせつな「たからもの」。
おとうさんとおかあさんのところにきてくれて、ありがとう!
おとうさんとおかあさんをえらんでくれて、ありがとう!
エピソード 04
● だいじろうのひとこと ●
シャワーのときになると、きみはいつも泣いていたね。
きみは「ちょっとだけこわい」って言っているみたいだけど、
おとうさんには、大げさなくらいこわがっているように見えたよ。
そのたびに、なんだか悪いことをしているみたいで
ぼくは心がいたかったよ・・・ ・・・
エピソード 05
● だいじろうのひとこと ●
ぼくはきみが家族の一員となった日に、ふたつ心にちかったことがあるんだ。
ひとつは「ゆたかな心をはぐくむこと」
もうひとつは「だれからも愛される子にそだてること」
そして、きみは、
ぼくがちかったとおりの子に、そだってくれているよ。
きょうはきみがだいすきなたべものとおもちゃを、みんながたくさん用意してくれたよ!
おもいっきりたのしもうね!
エピソード 06
● だいじろうのひとこと ●
きみのおかあさんがあたらしい命を宿したよ! ケン! きみに兄弟ができるんだよ!!
こんなにすばらしいことがあるかい!? ケン! きみは「おにいちゃん」になるんだよ!
もうおとうさんは、気がどうにかなりそうなくらい、うれしいよ!!!
エピソード 07
● だいじろうのひとこと ●
きみは「おにいちゃん」になってからしばらくは、
おにいちゃんというものに戸惑っていたね・・・ ・・・
おかあさんがのぞみをだっこしていると、
うらやましそうに見ているきみが、とてもいじらしかったよ。
それでもきみは、おかあさんのいうことを、きちんと聞いていたね。
そんな姿が、おにいちゃんらしくて、とてもえらかったよ!
エピソード 08
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て、
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
いいね! - 返信する
エピソード 09
● だいじろうのひとこと ●
去年のたんじょう日はとても盛大だったね!
きみはうちにお祝いにきてくれた人たちに、おもいっきり愛想をふりまいていたね。
そして、きみが大きなケーキに顔をうずめて、
顔中がクリームだらけになったのを見て、
みんなで大笑いしたことがいちばんのおもいでだよ!
今年は「家族」だけでのお祝いでちょっとさびしいかもしれないけれど、
こういうのを「家族水いらず」って言うんだよ。
きみはたいせつな家族の一員。これからも、ずーとずーと離れることのない家族の一員だよ!
エピソード 10
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
エピソード 11
● だいじろうのひとこと ●
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
エピソード 12
● だいじろうのひとこと ●
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
エピソード 13
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
シャワーのときになると、きみはいつも泣いていたね。
きみは「ちょっとだけこわい」って言っているみたいだけど、
おとうさんには、大げさなくらいこわがっているように見えたよ。
そのたびに、なんだか悪いことをしているみたいで
ぼくは心がいたかったよ・・・ ・・・
● だいじろうのひとこと ●
ぼくはきみが家族の一員となった日に、ふたつ心にちかったことがあるんだ。
ひとつは「ゆたかな心をはぐくむこと」
もうひとつは「だれからも愛される子にそだてること」
そして、きみは、
ぼくがちかったとおりの子に、そだってくれているよ。
きょうはきみがだいすきなたべものとおもちゃを、みんながたくさん用意してくれたよ!
おもいっきりたのしもうね!
ぼくはきみが家族の一員となった日に、ふたつ心にちかったことがあるんだ。
ひとつは「ゆたかな心をはぐくむこと」
もうひとつは「だれからも愛される子にそだてること」
そして、きみは、
ぼくがちかったとおりの子に、そだってくれているよ。
きょうはきみがだいすきなたべものとおもちゃを、みんながたくさん用意してくれたよ!
おもいっきりたのしもうね!
エピソード 06
● だいじろうのひとこと ●
きみのおかあさんがあたらしい命を宿したよ! ケン! きみに兄弟ができるんだよ!!
こんなにすばらしいことがあるかい!? ケン! きみは「おにいちゃん」になるんだよ!
もうおとうさんは、気がどうにかなりそうなくらい、うれしいよ!!!
エピソード 07
● だいじろうのひとこと ●
きみは「おにいちゃん」になってからしばらくは、
おにいちゃんというものに戸惑っていたね・・・ ・・・
おかあさんがのぞみをだっこしていると、
うらやましそうに見ているきみが、とてもいじらしかったよ。
それでもきみは、おかあさんのいうことを、きちんと聞いていたね。
そんな姿が、おにいちゃんらしくて、とてもえらかったよ!
エピソード 08
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て、
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
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エピソード 09
● だいじろうのひとこと ●
去年のたんじょう日はとても盛大だったね!
きみはうちにお祝いにきてくれた人たちに、おもいっきり愛想をふりまいていたね。
そして、きみが大きなケーキに顔をうずめて、
顔中がクリームだらけになったのを見て、
みんなで大笑いしたことがいちばんのおもいでだよ!
今年は「家族」だけでのお祝いでちょっとさびしいかもしれないけれど、
こういうのを「家族水いらず」って言うんだよ。
きみはたいせつな家族の一員。これからも、ずーとずーと離れることのない家族の一員だよ!
エピソード 10
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
エピソード 11
● だいじろうのひとこと ●
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
エピソード 12
● だいじろうのひとこと ●
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
エピソード 13
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
● だいじろうのひとこと ●
きみのおかあさんがあたらしい命を宿したよ! ケン! きみに兄弟ができるんだよ!!
こんなにすばらしいことがあるかい!? ケン! きみは「おにいちゃん」になるんだよ!
もうおとうさんは、気がどうにかなりそうなくらい、うれしいよ!!!
● だいじろうのひとこと ●
きみは「おにいちゃん」になってからしばらくは、
おにいちゃんというものに戸惑っていたね・・・ ・・・
おかあさんがのぞみをだっこしていると、
うらやましそうに見ているきみが、とてもいじらしかったよ。
それでもきみは、おかあさんのいうことを、きちんと聞いていたね。
そんな姿が、おにいちゃんらしくて、とてもえらかったよ!
きみは「おにいちゃん」になってからしばらくは、
おにいちゃんというものに戸惑っていたね・・・ ・・・
おかあさんがのぞみをだっこしていると、
うらやましそうに見ているきみが、とてもいじらしかったよ。
それでもきみは、おかあさんのいうことを、きちんと聞いていたね。
そんな姿が、おにいちゃんらしくて、とてもえらかったよ!
エピソード 08
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て、
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
いいね! - 返信する
エピソード 09
● だいじろうのひとこと ●
去年のたんじょう日はとても盛大だったね!
きみはうちにお祝いにきてくれた人たちに、おもいっきり愛想をふりまいていたね。
そして、きみが大きなケーキに顔をうずめて、
顔中がクリームだらけになったのを見て、
みんなで大笑いしたことがいちばんのおもいでだよ!
今年は「家族」だけでのお祝いでちょっとさびしいかもしれないけれど、
こういうのを「家族水いらず」って言うんだよ。
きみはたいせつな家族の一員。これからも、ずーとずーと離れることのない家族の一員だよ!
エピソード 10
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
エピソード 11
● だいじろうのひとこと ●
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
エピソード 12
● だいじろうのひとこと ●
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
エピソード 13
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て、
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
いいね! - 返信する
● だいじろうのひとこと ●
去年のたんじょう日はとても盛大だったね!
きみはうちにお祝いにきてくれた人たちに、おもいっきり愛想をふりまいていたね。
そして、きみが大きなケーキに顔をうずめて、
顔中がクリームだらけになったのを見て、
みんなで大笑いしたことがいちばんのおもいでだよ!
今年は「家族」だけでのお祝いでちょっとさびしいかもしれないけれど、
こういうのを「家族水いらず」って言うんだよ。
きみはたいせつな家族の一員。これからも、ずーとずーと離れることのない家族の一員だよ!
去年のたんじょう日はとても盛大だったね!
きみはうちにお祝いにきてくれた人たちに、おもいっきり愛想をふりまいていたね。
そして、きみが大きなケーキに顔をうずめて、
顔中がクリームだらけになったのを見て、
みんなで大笑いしたことがいちばんのおもいでだよ!
今年は「家族」だけでのお祝いでちょっとさびしいかもしれないけれど、
こういうのを「家族水いらず」って言うんだよ。
きみはたいせつな家族の一員。これからも、ずーとずーと離れることのない家族の一員だよ!
エピソード 10
● だいじろうのひとこと ●
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
エピソード 11
● だいじろうのひとこと ●
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
エピソード 12
● だいじろうのひとこと ●
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
エピソード 13
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
きみが最近、りっぱな「おにいちゃん」として、凜とふるまっている姿を見て
ぼくはとてもきみがたのもしく見えたよ。
きみもおにいちゃんとしての姿勢が、だんだんと板についてきたね!
そして、おとうさんとおかあさんのことも、いつもきみはよく見ていたね。
ぼくたちに元気がないと、しんぱいそうな顔で見ていたよね。
そんなとき、きみは何も言わずにただぼくたちのそばにいてくれたね。
ぼくたちはきみのそんな献身的な愛に、どんなに救われたことだろう・・・ ・・・
そんなきみの愛情には、どんなにがんばっても勝てないとおもったよ。
● だいじろうのひとこと ●
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
でも、たまにわがままを言いすぎてしかられることもあったね。
ぼくがきみをしかると、上目づかいにぼくを見上げる顔が本当にかなしそうだった。
きみが成長するにつれ、ぼくはきみをしかることが多くなった気がする。
きっときみに「理想のよい子」を求めすぎていたんだね。
きみは今のきみのままでもう十分なのに……
それでもきみは、ぼくにどんなにしかられても変わらない愛情を向けてくれたね。
きみがこんなに我慢してくれているのに、
きみのきもちを少しも理解しようとしなくてごめんね。
エピソード 12
● だいじろうのひとこと ●
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
エピソード 13
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
家族全員で公園に行くときは、きみはいつも以上に大興奮だったね!
きみが家族の一員となって、のぞみが生まれて4人家族になった。
きみがのぞみと上手にボールであそんでいる姿を見るたびに
おとうさんとおかあさんは、とってもしあわせだったよ。
本当にきみはりっぱなおにいちゃんに成長してくれたね!
● だいじろうのひとこと ●
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
きみはえっちゃんが来るとほんとうにうれしそうだよね!?
えっちゃんは、近所でも評判の美人だからかな?
ケンは本当に女の子が好きだよね!
エピソード 14
● だいじろうのひとこと ●
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
エピソード 15
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
きみは「だいじょうぶ」って言っていたけど、
本当は、おかあさんがいなくなって不安で、そして、しんぱいでたまらなかったよね……
でもきみはおにいちゃんだから、のぞみを不安にさせないように、
一生懸命、気丈に振る舞っていたよね。
そんなきみのけなげな姿に、おとうさんもとても勇気づけられたよ!
おかあさんがかえってきたよ!
すこしつかれているんだよっておとうさんが言っていたけど、
その夜、ぼくは久しぶりにおかあさんのとなりで寝た。
おかあさんのにおいは、
ぼくが赤ちゃんだったときと変わらない、
クッキーみたいな、あまいにおい。
ぼくのお布団もおちつくけど、
やっぱりおかあさんのとなりが
だいすきだ!
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、おかあさんがかえってきたよ! ほら寝てないで、早く起きて!
お出迎えに行かなきゃ! はやく、はやく!」
ぐっすり寝ていたきみは、ぼくにせかされ、慌てておかあさんをお迎えに行ったね。
よかったね! ケン、きょうはたくさんあまえるといいよ。
エピソード 16
次の日から、またおかあさんがいなくなった。
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
エピソード 17
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんは、きみの8回目のたんじょう日をとてもたのしみにしていたんだよ。
でもどうしてだろうね?
たのしいはずのたんじょう日なのに涙が止まらなかった……
きみは自分のたんじょう日のことなんかそっちのけで、おかあさんをぎゅうってしていたね。
ひさしぶりにおかあさんにあまえているきみを見ていたら、よけいに涙があふれてきたよ。
● だいじろうのひとこと ●
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
ケン、おかあさんは「てんごく」にいったんだよ。
きのうケンからぎゅうってしてもらって、おかあさんはとてもしあわせそうな顔をしていたよ。
エピソード 18
● だいじろうのひとこと ●
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
エピソード 19
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
おかあさんが天国にいってから、おとうさんは毎日さびしくて仕方がなかった。
本当は、おとうさんがいちばんがんばらなくちゃいけないのに……
ごめんね、ケン。さみしいおもいをさせて。
● だいじろうのひとこと ●
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
あの日、ぼくはきみにはじめて手をあげてしまった……
おとうさんとおかあさんの記念の時計をこわすなんて、いくらなんでも許せなかったんだ。
でも、きみはおとうさんがなんであんなに怒っているのか、きっと理解できなかったよね。
きみに手をあげてしまったことを、ぼくはとても後悔している。
そして、あのときのきみのかなしそうな目を、一生忘れない。
ごめんね、ケン。
エピソード 20
エピソード 21
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
● だいじろうのひとこと ●
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
何を言っているんだ、ケン! のぞみのしんぱいをしている場合じゃないだろ!?
クルマにぶつかったのはきみだよ! ケン! だいじょうぶかいケン!!」
エピソード 22
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
エピソード 23
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
「ケン、大変だ! 血がでているよ! 足をけがしてるじゃないか!! 病院に行かなきゃ!
ケン、だいじょうぶだから! 今おとうさんが病院に連れて行くから!!」
あのとき、ぼくはきみをだっこして病院まで必死に走った。
あまりにも気が動転していたから、どこをどう走って病院に行ったかも覚えていない。
ただ病院につくまでの間、まわりの景色がスローモーションのように、
ものすごくゆっくり流れて、なかなか病院にたどりつけなくて、
とてももどかしかったのだけは覚えているんだ。
● だいじろうのひとこと ●
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
「ケン、きょうはおとうさんいっしょに行けないから、
のぞみとふたりでおさんぽに行っておいで。
あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
ぼくがそう言うと、きみは一目散にクルマいすに飛び乗って
「ここはぼくの指定席だよ!」と言わんばかりの顔をしていたね!
クルマにぶつかってから、はじめてのクルマいすでおさんぽに行ったとき、
「ケン、クルマいすの乗り心地はどうだい?」て聞いたら、
「ラクちんでとっても快適だよ!」って、にこりと笑って振り向いてくれたね。
そんなきみの笑顔が、ぼくはどんなにうれしかったことか。
クルマいすのおさんぽなんて、きみにはきっと退屈だろうとおもっていたから……
きみはいつも笑顔で、そしていつも前向きだったよね。
ぼくはきみのその笑顔にどれだけ元気をもらったかわからないよ。
ケン、のぞみを救ってくれて本当にありがとう!
エピソード 24
● だいじろうのひとこと ●
きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
エピソード 25
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
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きみはどんなときでも、あるがままを受け入れて、
あるがままに生きている。
不平不満も言わず、ただその日を、
その瞬間を、全力で生きている。
そんなきみから学ぶことが、たくさんあったよ。
本当にきみは、おとうさんの自慢の息子だよ!
最近は少しつかれるようになってしまったかな?
一生懸命もいいけれど、あまり無理をしないようにね。
● だいじろうのひとこと ●
きみは眠りにつくと、いつも「フゥー」って大きくため息をついていたね。
そして、ときおり意味不明の寝言を言うきみがとてもかわいかったよ。
きっと夢の中でもあそんでいるんだね!
いつもたくさんあそんで、まるで毎日が夏休みのようだったね!
ぼくはこのごろ、きみが小さいときの夢をよくみる。
はじめてだっこしたときのきみのにおい、きみのぬくもり、きみの息づかい。
そして、秋の空のように、どこまでも澄んだきみの瞳。
それがまるできのうのことのような、ふしぎな夢なんだ。
エピソード 26
● だいじろうのひとこと ●
ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
エピソード 27
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
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発行者 矢野 慎也
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ケン、目がさめたかい。どうした? ケン。
何をふしぎそうに見ているんだい? 寝ぼけてるのかい?
● だいじろうのひとこと ●
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
ほら、ちゃんと起きて! ケン、12回目のたんじょう日、おめでとう!!
エピソード 28
● だいじろうのひとこと ●
「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
エピソード 29
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
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「きょうはおじいちゃんと、きみのだいすきなえっちゃんも来てくれたよ!
うれしいだろう? ケン。なんだか、はじめてのおめでとうの日をおもいだすね」
きみはみんなといっしょにいるときが、いちばんしあわせそうだね!
そしてきみは、いつもみんなのことを気にかけてくれている。
家族のだれかが笑うと、きみもいっしょに笑ってくれる。
家族のだれかがかなしむと、きみもいっしょにかなしんでくれる。
そして、家族のだれかがおち込んでいると、きみはただ何も言わずにその人のそばにいる。
そうしてきみはいつもぼくたち家族を、宇宙よりも大きな愛で包み込んでくれる。
きっときみは自分のことより、家族がしあわせなことが、しあわせなんだね。
おかあさんも天国から「ケン、おめでとう! りっぱなお兄ちゃんになったわね!」って言ってくれているよ!
● だいじろうのひとこと ●
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがうちに来たときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみとおさんぽに行ったときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてきみがシャワーを浴びたときのこと。
ケン、覚えているかい? はじめてのたんじょう日のこと。
ケン、ケン…… 聞いてる? もう寝ちゃった?
どんな夢を見ているんだい? ケン、なんだかとてもたのしそうだね!?
おとうさんにとって、きみとのおもいではぜ~んぶ、たいせつなたからものだよ!!
また明日もさんぽに行こうね!
公園についたら、ケンの好きなボールあそびをいっぱいしようね!
そうだ! 明日の晩ごはんはケンの好きなやわらかいごはんにしよう!
この間は、ちょっと固いって言われちゃったから、今度はちゃんとやわらかくするからね!
お布団もすこしくたびれてきたから、今度、あたらしいのを買いに行こうね!
もちろん、フカフカのやつだよ!
それから、今度の休みの日はみんなで海に行こうか! 山登りもいいね!
それから、その次の休みの日は川あそびに行って、それから、それから……
あれ……なんだかおとうさんも眠たくなってきちゃった……
じゃあね、ケン……。ゆっくりお休み。
Epilogue
● 虹の橋 ●
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
発 行 UnSunG Books(株式会社アンサング)
〒160-0004東京都新宿区四谷1-7装美ビル2F・3F
http://www.unsung.jp/
TEL 03-5315-4587
© Visse 2017 © Kuroe 2017 © UnSunG 2017
天国の少し手前に、 「虹の橋」 と呼ばれるところがあります。
地上にいる大切な人と愛し合っていた動物は、死が訪れるとそこへ行きます。
そこには草地や丘があり、彼らはみんなで走り回って遊ぶのです。
食べ物も水もたっぷりあって、お日さまは降り注ぎ、みんな暖かく快適に過ごしています。
病気にかかっていたり、年をとっていた子たちは、ここでは健康と元気を取り戻し、
傷ついたり不自由な体になったりしていた子たちも、元通りの丈夫な体を取り戻します。
まるで、過ぎ去った日の夢のように……
ここではみんな幸せで、とても満足に暮らしています。あるひとつのことだけを除いては。
それは、彼らにとって特別な人、あとに残してきた大切な人がいないこと……
いつものように、動物たちが一緒に遊んで時を過ごしているある日、
そのうちのひとりが、足を止めて遠くに目を向けます。
やがて、その目はきらきらと輝き、体はたまりかねたように小刻みに震えはじめます。
そして、突然、そのひとりはみんなから離れて、緑の草地を跳ぶように走っていきます。
「あなた」 を見つけたのです。
とうとう出会えたあなたたちは、抱き合って再会を喜び合います。
そして、もう二度と、別れることはありません。
喜びのキスがあなたの顔に降りそそぎ、
あなたは両手で、愛するパートナーの頭と体をふたたび撫でます。
そして、あなたは信頼にあふれたその瞳を、もう一度覗き込みます。
あなたの人生から長いあいだ姿を消していたけれど、心からは一日たりとも消えたことがないその瞳を。
それから、あなたたちは一緒に 「虹の橋」 を渡るのです。
~原文訳:作者不詳~
【エンドロール】
『One Reason 〜共に生きた日々〜』
原 作 だいじろう with Family
監 修 松本 えつを
絵 kuroe(Woman Creators Bank)
発行者 矢野 慎也
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