コラム |
犬を叱るということ |
犬の学習は、
■行動を増やすか
■行動を減らすか
の2つになります。行動には、良い行動と悪い行動があります。そして、犬の悪い行動を減らそうとするために必ず使われるのが「罰」です。
罰とは、犬が何か好ましくない行動をした時に叱ったり、時には叩いたりして犬が「嫌がること」や「怖がるもの」を使って、悪い行動をすると「嫌なことが起きる」と、学習させるために使われるものです。
犬が吠えた時に缶を投げて驚かしたり、無視するというのも罰ですが、これらの方法を行っても、効果は全くありません。
罰は犬に痛みを与えたり、いうことを聞かせるために使うことが目的ではありません。吠えることも含めて犬の行動を止めるために、一時的なブレーキとして使うものなのです。
ここでいう一時的なブレーキとは、「No!」や「ダメ!」「いけない!」と叱ることです。
しかし、善悪の概念と反省と後悔ができない犬を叱るだけでは、正しい行動を学習させることもできません。罰はあくまでも、一時的なブレーキでしかないということです。
ただ、無駄吠えや飼い主を咬むなどの問題行動に対しては、それは「本当にいけないこと」だと、犬に伝わるまでしっかりと叱責する必要があります。☜ここが難しい
犬は、学習する生き物です。しかし、ほとんどの飼い主は、叱るだけで犬に学習する時間を与えません。
その学習とは、何回も何回も繰り返し、犬が正解にたどり着くまで根気強く教えなければならないのです。
ここまでの話で、犬を叱ってはいけないということではありません。私も罰は使います。しかし、罰を使ったら必ず犬に正解を教え、褒めて終わります。叱りっぱなしにしないで叱ることに責任を持ちます。
私が最も怖いのは、飼い主の「罰を与える行動がエスカレートしていく」ことです。
ある生徒さんで、ラブラドールの雄が吠える度に、布団たたきで叩いて止めさせていた方がいました。
そのうち布団たたきでは効かなくなり、モップの柄で叩くようになりました。モップの柄で効かなくなったら、次は金属バットになるのでしょう。
しかし、そうなる前にレッスンを受けてくれたので、もう叩くことなくその子の吠えは治りました。
犬に体罰を与えると、犬の反抗心を育ててしまうこともあります。もちろん、信頼関係は絶対に築けません。さらに、いつも叱ってばかりいると※馴化してしまい、効果がなくなってしまいます。
しつけの基本は、悪い行動を叱って減らそうとするのではなく、前述したとおり、犬が正解を覚えるまで何回も何回も根気強く教え、良い行動を褒めて増やすことです。
そうして育てられた犬は、飼い主の望むことと、望まないことをきちんと理解できるようになるのです。
※馴化=何度もその※刺激を受けているうちに、刺激にだんだんと慣れてしまうこと。
※刺激=叱る、叩く、音、匂い、人、犬、車、オートバイ、触られる(ブラッシング・爪切り)物(掃除機など)
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